ロックダウン規制緩和ロードマップ・フィリップ殿下入院

 本日ボリス・ジョンソン首相が議会でロックダウン規制緩和に関するロードマップを発表した。まだ道のりは短くはないが、12月頃から漸次施行されたロックダウンの出口が見えてきた。

  • 3月8日:全ての学校が再開される。
  • 3月29日:屋外での交流が再開される。ただし最大6人まで、かつ住居を異にする2家族まで。
  • 4月12日:全ての必要不可欠でない店舗の営業が再開される。ただしレストランやパブのテーブルサービスは屋外に限られ、6人/2家族ルールが適用される。
  • 5月17日:屋外では最大30人までの交流が再開される。6人/2家族ルールを適用の上、屋内での交流が再開される。宿泊施設、美術館、映画館といった施設の営業が再開される。
  • 6月21日:全ての法的規制が解除される。

なお4月以降のスケジュールについては"Not Early Than"となっており、感染状況によっては後ずれする可能性がある。

 ようやくトンネルの出口の光が見えてきた程度かもしれないが、具体的な日程が提示されたことは大きな一歩と言えよう。ただでさえ日照時間が短く天気も良くない冬の間、屋外でのエクササイズ以外に楽しみのなかった英国人にとっては大きな前進だ。子供が学校に行ってくれるのも大きな負担減となろう。春の訪れとともに精神的にも明るくなりそうだ。 

 ところでエリザベス女王の配偶者であるエディンバラ公フィリップ殿下が今月16日から入院している。コロナウィルスに関連するものではなく、体調不良を感じた(feeling unwell)ため予防的措置(precautionary measure)として入院したものだそう。

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 近年のお姿は大変失礼ながら悪の組織の黒幕のような凄みのある風貌だが、若いころはスラリとした長身のイケメン貴族。まだ十代前半だったエリザベス女王のハートを射止めたのもうなずける。フィリップ王配の経歴は非常に興味深く、元はデンマーク王家の流れをくむギリシャ王家の親族として生まれたものの、わずか1歳の時にクーデターが発生。英国の助けでなんとかギリシャを脱出し、その後はフランス、英国、ドイツ、再び英国と欧州各国を転々とする。十代後半で英国海軍に入隊し第二次世界大戦に従軍、終戦2年後にまだ王女であったエリザベス女王と結婚した。しかしドイツ王家の血も引くことが災いし、4代前のヴィクトリア女王の王配アルバート公と異なり共同統治権は付与されず、このことが少なからずその後のエディンバラ公の言動や夫婦関係に影響を与えたようだ。もともと英国の王室は18世紀のジョージ1世から現在に至るまでドイツ系の家系であり、ヴィクトリア女王もその子孫なら、配偶者のアルバート公も元はザクセン公でれっきとしたドイツ系。終戦直後とはいえ色々と思うところがあったのだろう。

 よく言えばワイルド、悪く言えば粗野な言動が多く、数々の刺激的な発言で物議をかもすこと多数、近年もつい2年前に自ら運転する車で事故を起こし、派手にレンジローバーを横転させ耳目を騒がせた。こうした言動はこの世代の貴族階級では珍しいことではないようで、例えば先代のスペイン王カルロス一世は欧州危機でスペインが経済難にあえぐ中、アフリカで象狩りを敢行し大きな非難を浴びた。ハンティングは欧州貴族の伝統的なたしなみである。

 御年99歳、一日も早い回復を祈ります。