ロンドンは規制を引き上げ"Tier4"へ

  去る19日土曜日、従前Tier3までだった規制区分にTier4を新設しロンドンとイングランド南東部に対し、20日日曜日から適用することが発表された。ニュースを見たときは「4???」と首をかしげたが、そもそも私のTier3に対する認識が古かったようで(当初よりやや緩和されていた)、より厳格な規制を適用するために急遽新しいTierを新設したようだ。

 背景にはイングランド南東部を中心にコロナウィルスの変異種が見つかり、既に1,000件以上の感染者が発見されていることにあるようだ。重症化率や致死率についてはまだわかっていないものの、感染能力は最大で従来の70%増という観測で、英国政府はかなり危機感を抱いているようだ。オランダやベルギー、イタリアは英国からの航空便の受け入れを一時停止し、その他のEU諸国も同様の措置を検討中とのことである。

 自身の理解を正しくするためにも改めてちゃんと英国政府のウェブサイトを見たうえでTier Systemを整理する。

異なる住居に居住する人物の交流
Tier 1・・・屋内、屋外ともに可。ただし最大6人まで。
Tier 2・・・屋内不可。屋外は6人まで可。
Tier 3・・・屋内、屋外共に不可。ただし公園等は可(屋外の遺跡や森林も含む)
Tier4・・・一部の例外を除き不可

生活上必要不可欠でない店舗(レストラン・パブ・宿泊施設等)の営業
Tier 1・・・全面的に可。ただし上述の6人ルールは適用される。
Tier 2・・・同一の住居に居住する人物同士でのみ可。
Tier 3・・・営業不可。飲食店はTake Awayのみ可。美容院やレジャー施設等は一定の制限の下営業可。
Tier4・・・原則不可。Take Awayや電話やオンラインで注文したものの受け取りのみ可。従って美容院等は営業不可

 英国人にとって最大の問題は、クリスマスシーズンに実家に帰って家族で過ごすことが出来なくなってしまったことだろう。日本では年末年始に実家に集まっておせち料理を皆で食べるのが伝統的な習慣だが、英国ではクリスマス前後に同じことを行う。実家に集まっておせちではなくクリスマスディナーを食べるのだ。しかしTier4に指定されたエリアの住人は実家に帰ることが出来なくなってしまったのだ。2度目のロックダウンを終え、クリスマスを楽しみにしていた英国人はさぞショックなことだろう。かきいれ時のクリスマスにまともに営業ができなくなってしまった小売り、レストラン、宿泊施設といった業界への打撃も甚大だ。

・英国の新規感染者は35,928名、死者は326名
Brexitの交渉は今日再び期限を迎えたが妥結せず、再び交渉が延長されることとなった。