布マスク - ロックダウン50日目

 英国はもとより欧米諸国では、日本と違いマスクを日常的に着用する習慣がない。欧米人は会話をするときに口元を、アジア人は目元を重視するためとか、顔を隠すのはやましいことがあると思われるためとか諸説あるものの、とにかく病院以外でマスクを見ることはまずない。

 初めてマスクを着用している集団を見たのは2月の半ば、イタリア旅行からの帰路だった。1週間の旅行を終え、フィレンツェの空港からロンドンへ向かう際に、同じチェックインカウンターにいたイタリアの中高生と思しき団体客が皆マスクを着用していた。この時はまだイタリアでのアウトブレイクが認識されるまさに直前で、マスクに親しんだ日本人ながら随分と大袈裟なと奇異に思ったが、帰宅後にBBCのニュースで北イタリアでパンデミックが発生していることを知った。

 それでもロンドンではしばらくの間マスクを着用している人を見ることは稀だった。マスクをしているのは大抵中国系と思しき人々で、どうしても悪目立ちしている印象を受けていた。

 しかしロンドンでもロックダウンが始まると、どこから手に入れたのか6~7割程度の人がマスクを着用するようになった。スーパーやドラッグストアの従業員や客はもちろんのこと、ロンドンバスの運転手、果てはランニング中の人までマスクをしていることが珍しくなくなった。例外的に見回りをしている警察官はマスクをしているのを見たことがない。

 正直なところマスクを着用することで感染確率が低減するとはあまり思っていない(他人に感染させない効果はあるらしい)のだが、マスクを着用していないことに対する周囲の目が気になり始め、さりとて出どころの良く分からない、それでいて割高なマスクを購入する気にもならず、妻にマスクの作成を依頼。生地はAmazondでパキスタン製のコットン生地を取り寄せた。

f:id:LDNinLD:20200503203342j:plain

コットン生地

f:id:LDNinLD:20200503203317j:plain

ヨメノマスク

 何かと話題の布マスクである。元々はベビー用の肌着生地のため通気性重視で目が粗く、ロックダウン以降伸ばし続けている髭が時折顔をのぞかせるが、やはり外出時は着用していた方が周囲の目は気にならない。

  • コロナウィルスによる英国での死者は32,692名となった。
  • コロナウィルスによる日本での死者は643名となった。
  • いよいよ明日13日から英国のロックダウン規制が一部緩和される。製造業や建設業などの在宅勤務ができなかった職場への復帰や、無制限の屋外でのエクササイズや日光浴、ピクニックなどが(ただし原則同居者限定)許されるようになる。テイクアウト限定で店を再開させるレストランも増えるだろう。